ユーロ/円相場は、100円の節目水準で揉み合う展開になっている。ギリシャの再選挙で緊縮財政派が勝利し、スペイン政府がユーロ圏諸国に銀行部門への支援を正式申請する中、欧州債務問題に対する危機感は後退している。欧州債市場を見えても、各国国債利回りが低下しており、一時期にみられたような危機感はない。ただ、28~29日に開催される欧州連合(EU)首脳会合で特段の進展が見られないとの警戒感が強まる中、ユーロの戻り圧力も限定されている。
EU首脳会合では、債務問題に対する抜本策が協議されるとの期待感が強い。ただ、ドイツのメルケル首相は、ユーロ圏で債務の責任を共有するのは非生産的と発言するなど、危機封じ込めに向けて各国が強調姿勢を打ち出せるのか不透明感が強い。救済基金による国債購入といった観測も出ているが、足元の危機対応に終始し、中長期的な対応策を講じることが見送られると、ユーロに失望売りが膨らむ可能性があるため、注意が必要である。銀行同盟などの大枠については協議が進むも、具体策の見送りがユーロの上値を圧迫する見通し。
欧州中央銀行(ECB)関連では、クーレ専務理事が7月の理事会で利下げを決定する可能性を示唆している。6月理事会での政策対応は見送られたが、その後も経済指標の下振れ傾向が続いていることや債務問題の危機封じ込めに有効な対応策が講じられていないことを考慮すれば、ECBの政策対応の必要性は高いと言わざるを得ない。7月理事会で利下げが行われるかは不透明感が強いが、近く追加利下げの決断を迫られる地合に変化はないだろう。
今後1週間の予想レンジは、98.00~101.00円。